まず、主な期限を一覧でご確認ください。
| 期限 | 主な手続 |
|---|---|
| 7日以内 | 死亡届の提出 |
| 14日以内 | 健康保険・年金の手続 |
| 3か月以内 | 相続放棄・限定承認の申述 |
| 4か月以内 | 準確定申告 |
| 10か月以内 | 相続税の申告・納付 |
| 3年以内 | 相続登記(2024年4月から義務化) |
I死亡届の提出(7日以内)
亡くなられたことを知った日から7日以内に、死亡届をお住まいの市町村役場に提出します。京築地方の方は、行橋市役所、苅田町役場、みやこ町役場、築上町役場、上毛町役場、吉富町役場、豊前市役所のいずれかが窓口となります。実際には、葬儀社が代行することがほとんどです。
II健康保険・年金の手続(14日以内)
亡くなられた方の健康保険・年金の資格喪失手続が必要です。国民健康保険・後期高齢者医療保険は市町村役場、会社の健康保険は勤務先、年金は年金事務所が窓口です。配偶者の方は、あわせて遺族年金の受給資格もご確認ください。
III遺言の有無の確認
葬儀が一段落したら、最初に確認すべきは遺言の有無です。あるか否かで、その後の進み方が大きく変わります。
公正証書遺言は、最寄りの公証役場で「遺言検索システム」により検索できます。自筆証書遺言は、ご自宅・金庫・貸金庫のほか、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用していないかも確認しておきましょう。
IV相続人の確定(戸籍の収集)
「誰が相続人なのか」を確定するため、亡くなられた方の出生から死亡までのすべての戸籍を取り寄せます。本籍が複数回移動している場合、複数の市町村から取り寄せることになります。
2024年3月から、最寄りの市町村役場で他の市町村の戸籍も取得できる「戸籍の広域交付」制度が始まり、京築地方の各市町村役場でも対応可能となりました。収集した戸籍をもとに法務局で「法定相続情報一覧図」の認証を受けておくと、その後の手続が大幅にスムーズになります。
V相続財産の調査・把握
亡くなられた方が遺された財産の全体像を把握します。
- 不動産(土地、建物、農地、山林など)
- 預貯金、有価証券
- 生命保険(受取人の確認も重要)
- 事業用資産、非上場株式
- 債務(借金、保証債務、滞納税)
不動産は、毎年4〜5月に届く固定資産税の納税通知書が出発点です。お住まいの市町村役場で「名寄帳」を取得すると、その市町村内のすべての所有不動産が確認できます。複数の市町村に物件がある場合は、それぞれで取り寄せが必要です。
特に見落とされがちな債務(負の遺産)は、次の相続放棄の判断のためにも、徹底的に確認する必要があります。
VI相続放棄・限定承認の判断(3か月以内)
自己のために相続の開始があったことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に相続放棄または限定承認の申述をする必要があります(民法第915条)。何もしないで3か月が経過すると、すべての財産と債務を引き継ぐ「単純承認」とみなされます。
京築地方にお住まいの方は、原則として福岡家庭裁判所行橋支部が管轄となります。
VII相続税の申告(10か月以内)
相続財産の総額が基礎控除を超える場合、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に、相続税の申告・納付が必要です。
基礎控除 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
京築地方の方の申告先は、原則として行橋税務署です。
なお、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」など、相続税には強力な軽減制度があります。ただし、これらの特例を使うには相続税申告書の提出が必須です。「特例で税額がゼロになるから申告不要」という誤解にはくれぐれもご注意ください。
また、亡くなられた方が個人事業主・不動産所得のある方・年金所得者などだった場合は、相続開始を知った日の翌日から4か月以内の準確定申告も必要です。
相続手続は多岐にわたりますが、すべてを一度に進める必要はございません。期限のあるものを優先しつつ、遺産分割協議のように関係者でじっくり話し合うべきものは、慌てて結論を出さないこと。これが、長期的にご家族の関係を損ねない秘訣だと、私たちは考えております。
本コラムは、執筆時点の法令・実務に基づいております。法令改正等により最新情報と異なる場合がございますので、個別具体的なご相談は当事務所(担当弁護士・細川)までお問い合わせください。
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